低リスクかつ革新的なアプローチ:新型空中給油機(シンガポール)
Credit: Ministry of Defense, Singapore
自動空中給油(Autonomous Air-to-Air Refueling:A3R)を筆頭に、コンピューター化されたトラブル対処といった数々の新技術を搭載するSMART MRTT(A330多用途空中給油輸送機)プロジェクトにおいて、シンガポールは自国の空中給油機の経験と研究開発能力を活かすことで、最初にして唯一の共同開発パートナーとなった。これにより、シンガポール空軍はまだ他国が持たない高度な空中給油技術の情報を得るに至った。MRTTが持つ空中給油機同士の給油能力を用いることで、空軍の戦闘機部隊を1回の飛行で世界中どこへでも、どこからでも展開が可能になるとしており、これをシンガポール空軍では「戦略実現装置 (strategic enabler)」と呼んでいる。
コロナ禍の中でも、このプログラムは納入から3年も経たない2021年4月に完全作戦能力を獲得した。自動給油能力についても、年内には認証を取得する予定だ。