本格的な運航再開に乗り出す航空各社 | Airlines Are Looking To Relaunch
July 15, 2020
航空業界はたとえ追い風の時期であっても、ある程度は推測をベースに経営を進めることには慣れている。たとえば、需要がどのように生まれるのか?新路線は想定通りに利用されるのか?競合他社はどう反応してくるのか?といったことは、誰にも分からない。どんなに分析的なアプローチを取っても、いかに路線計画部門が経験豊富でも、試みの一部は必ず失敗する。
これが良い時期であれば、航空会社はある程度の失敗に対処できる資金的な余裕を持っていることが一般的だ。しかし、業界が前例のない危機から回復するための最初の一歩を踏み出そうとしている今、業界は考え得る最悪の状況の組み合わせに直面している。まず、運航数・価格・再開させる路線を見誤った時にカバーできるほどの資金的余裕はない。そして、どこでどのように需要が回復するのかという不確実性は、歴史上もっとも高まっている。
回復の兆しが見え始めたのはこの数週間のことで、この短期的なトレンドを「回復」と呼んでもいいのかもしれないが、安定した上昇基調と呼べるようなものではない。さらに、徐々に需要が回復していったとしても、すぐに冬シーズンを迎えることになる。好調な航空会社であっても、冬場は資金を失う時期だ。
サウスウェスト航空
サウスウェスト航空は、より大きな国際線比率を持つ競合と比較して、当然ながら優位に立つことができるだろう。コロナ危機以前の段階で、同社の国際線比率は約5%だったが、一般的なフルサービスキャリアのそれは40%にも達する。
同社は年末までには前年比でほぼ横ばいの運航数を見込んでおり、コロナ危機からの回復期に、国内線ネットワークと低価格路線を活用した強気の戦略を取ることを示唆している。
アレジアント・エア、スピリット航空、フロンティア航空
アレジアント・エアとスピリット航空は年末までに前年並を目指している一方、フロンティア航空は前年比80~90%を目標にしている。2008年のリーマン・ショック後に大手航空会社が運航数を据え置く中でLCCが急成長したときと同様に、これらULCC(Ultra-low-cost carriers)各社は、国内レジャーに重点を置き、運航コストを低く抑えることが、回復期における強気の成長を可能にすると考えている。
また、アレジアントやサンカントリー航空のようなULCCは、低価格の中古機の恩恵を受けることになるだろう。両社のCEOは、それぞれエアバスA320およびボーイング737の中古機を、フリート拡大とスペアパーツ確保のために用いると述べている。
イージージェット
航空旅行の需要は各国の経済状況と深く結びついているとはいえ、航空会社としても警戒心の強い顧客を低価格で惹きつけることになり、収益の確保と、非常に重要な付帯収入については大きな譲歩をしなければならないだろう。これはヨーロッパのLCC各社がすでに心に刻んでいるメッセージだ。イージージェットでは部分的な運航再開に伴い、史上最大のサマーセールを開始しており、100万便以上のフライトを29.99ポンドから提供している。これは同社や競合他社が直面している価格競争の激しさを物語っている。
同社によると、今年度の第4四半期(9月末まで)は、コロナ危機以前の通常時と比較して約30%程度の運航を行う予定だ。
シンガポール航空(SIA)、キャセイパシフィック航空
香港およびシンガポールの政府は乗り継ぎ便の運航再開を認めたことから、グローバル市場の再開に伴い、両社にとっては有利な状況となる。
しかし、国の数が多く、地域を統括する規制当局も比較的少ないことから、アジア太平洋地域における国際線の回復は鈍くなっている。
国内での規制が緩和されたことで、国内線の急回復は年内を通じて続くと思われるが、国内路線を持たない両社にとっては、それほどの喜びにはならないだろう。
6月以降、各航空会社は運航数の回復に着手しており、今度は予想通りに需要が回復することを祈るタイミングに入った。
以上は、Jens Flottau, Helen Massy-Beresford, Adrian Schofield,Ben GoldsteinがAviation Week & Space Technologyに書いた記事の簡略版です。 地域ごとの航空会社の今後の見通しに関する分析と展望について、フルバージョンの記事でご確認ください。
Since June, airlines have started to reinstate substantial capacity, and now must hope demand will return as expected.
This is an abbreviated version of an article by Jens Flottau, Helen Massy-Beresford, Adrian Schofield and Ben Goldstein that appeared in Aviation Week & Space Technology. Read the full article to get an in-depth analysis of the prospects for the airline industry by region.
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